クリエイティブカフェ クリカフェ

コミュニケーションについて、広告クリエイティブディレクターの話

「国消国産」という考え方

f:id:cr-cafe:20210607173034j:plain

あのマスク不足は国内で作っていなかったから

国民の中にコロナの不安が一気に爆発した、あの時。皆が一斉にマスクを買いに走り、町中の店頭からマスクが消えたことは、まだ記憶にあると思います。

なぜマスクが一斉に消え、しばらく店頭に並ぶことがなかったのか?それは、それまで日本では、マスクのほとんどを輸入しており、国内で製造していなかったからです。万一の時、国民に必要な需要のほとんどを輸入に頼っていたことのリスクが露呈したわけです。

もしこれが食料だったらどうでしょうか?マスクのような工業製品は、国内の工場で速やかに生産システムが構築できれば、間もなく生産できるようになるでしょう。しかし、食料は農業によって作り出されます。

もし万一、なんらかの事情で、食料の輸入がとだえてしまったら、ただちに生産を開始しても、収穫までには長い時間を要します。果物や畜産物の場合は、さらに何年もかかるでしょう。その間、いったい国民は何を食べればよいのでしょう?

コロナのワクチンも、現時点では国内企業では開発できておらず(今後アストラゼネカは日本国内で生産するとの報道もありますが)、輸入に頼っています。ワクチンを巡っては、各国間で激しい争奪戦がくりひろげられたことは周知のことです。

日本は当面の必要量を確保できましたが、さらに今後、新たなタイプのウイルスの出現や、全く違う感染症が流行した場合、輸入に頼り続けられるとは限らないかもしれません。

食料の確保も国の安全保障

今、日本の食料自給率はカロリーベースで約38%です。つまり食料の約6割を外国からの輸入に頼っているわけです。これは先進国の中でも最低のレベルです。

日本は平野が少ないため耕地面積も少ないので仕方ないと考える方もいるでしょうが、その少ない耕地面積も、年々どんどん減っています。農水省によると、この60年で167万ヘクタール、日本の国土の25分の1に相当する農地が減っているとのことです。

視点を世界に移すと、このところアメリカ、中国をはじめ、世界中で自然災害が多く発生しています。自然災害は農業を直撃しますので、大規模な自然災害によってその国の農業が打撃を受けた場合、それまで食料を輸出していた国が、自国民の食料を確保するために輸出制限することが予想されます。

現に、コロナ禍の中でいくつかの国が食料の輸出を制限しました。もし、その輸出先が日本だったなら、食料の多くを輸入に頼っている日本が、食料不足に見舞われる可能性は否定できません。

このように万一の事態を想定し、国内の安全を守る備えを国家安全保障といいます。安全保障と聞くと、まずは日米安保が想起され、ちょっと政治的な怖い印象がありますが、まさに防衛も国にとって重要な安全保障の一つであり、他にも、経済の安全保障、資源やエネルギーの安全保障、環境の安全保障、思想や文化の安全保障などの概念があります。

そして、自国民の食料を確保していくことを食料安全保障というわけです。食料を安定的に供給することは、何も輸入を否定することではありません。万一の時にも途絶えない輸入ルートを確保していくことも安全保障でしょう。

と同時に、より根本的な解決策は、なるべく国内生産を拡大していくことでしょう。そんなことを考えていましたが、先日、JAグループさんからお話をいただき、食料安全保障について考えていくプロジェクトのお手伝いを始めました。

ベースにある想いは、このまま国産の農畜産物の消費が進まず、つまり食糧自給率が低迷し続ける中で、万一、輸入相手国の災害や紛争などの事情によって輸入が滞ってしまったら、国民の食料不足が起きかねないという食料安全保障上の問題提起です。

それを消費者目線で考えれば、解決の一歩は普段からなるべく国産の物を食べて消費を拡大し、それによって国内農業を応援して、食料自給率が向上していくという循環を産み出そうというものです。

というようなことを「国消国産」というテーマで林修先生にわかりやすく語っていただきました。「国消国産」で検索すればYouTubeでご覧いただけますので、興味ある方は、ぜひどうぞ。

 

筆者については・・・

 

f:id:cr-cafe:20200930203809p:plain